上部消化管分野においては、咽頭から十二指腸にいたるまでの臓器の内視鏡診断および治療を中心に、年間1万件以上の内視鏡診療を行っています。また、切除不能食道癌の化学療法および放射線療法、胃癌の化学療法も担当いたします。機能性ディスペプシアなどの機能性疾患に関しても、食道インピーダンス検査などを用い、適切な治療法を提案しております。治療症例はもちろんのこと、診断に難渋する症例、スクリーニング検査にいたるまで、ご紹介をお待ちしております。
有茎、亜有茎性のポリープ病変や大きさが20mm以下の扁平な腺腫、粘膜内癌では、内視鏡的ポリーペクトミー(EPT)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)にて対応し、20mmを超える大きさの粘膜内癌や粘膜下層への一部浸潤を疑う早期大腸癌には内視鏡的大腸粘膜下層剥離術(ESD)を積極的に導入しております。今後高齢者のがん患者さんが益々増えるなかで、侵襲の少ない内視鏡治療の有効性と安全性をさらに高めたいと考えています。
大腸腫瘍の遺伝子変異の特性、抗がん剤に対する患者さんの特性、原発病巣の部位、患者さんの全身状態を参考にして、抗癌剤に分子標的薬を組み合わせる、あるいは免疫チェックポイント阻害剤の導入を行い、入院治療から外来化学療法へとスムーズに移行できるような治療を目指します。標準治療が不応となった場合には、がん遺伝子パネル検査を導入し、新たな治療法がないかどうか検討しています。
血液検査、便検査(便中カルプロテクチン)、大腸内視鏡検査、注腸造影検査、腹部超音波検査、腹部CT検査を組み合わせて、まずは正確な診断を行います。急性増悪期の潰瘍性大腸炎の治療は、メサラジンや副腎皮質ステロイドホルモンを内服することが中心でした。最近では、あらたな薬物放出制御機構をもつ新規メサラジン製剤やメサラジンの注腸製剤、坐剤を用いて、軽症から中等症の症例には外来通院治療がスムーズに継続できるようにしています。一方、中等症から重症の症例やステロイド治療抵抗、依存症例などの難治症例には、免疫調節・抑制剤や生物学的製剤・低分子化合物を投与します。近年、免疫を調節する薬剤は異なる作用をもつものが多数登場しています。そのため患者さんの症状と社会背景に応じて、適切な治療法を相談・選択することにしています。内科的治療に反応しない激症例や長期にわたる炎症の持続にともない炎症性発癌をきたした症例では、消化器外科と相談のうえ、適切な外科的治療をすすめています。
潰瘍性大腸炎の診断とほぼ同様ですが、上記の検査法に加えて小腸の病変の程度を精査するために小腸造影検査、小腸内視鏡(経口・経肛門バルーン式、カプセル)が必要となる場合があります。内科的治療は栄養療法と薬物療法があります。栄養療法は主として成分栄養剤を用い、栄養障害の改善と腸管安静を目標に行います。一方、薬物療法はメサラジンを継続的に投与する他に、免疫調節剤であるアザチオプリンを併用し、炎症のコントロールを行います。中等症以上の症例には、生物学的製剤・低分子化合物を早期より導入し、積極的に治療を行っています。長期にわたる経過中に、腸管の狭窄、膿瘍形成、瘻孔形成などの腸管合併症を起こしてきます。その際には、生活の質を向上させるために、内視鏡的に小腸狭窄部のバルーン拡張術を行う場合や、外科と相談の上、外科的治療(腸管の部分切除・腸管形成)をすすめることもあります。個々に違う患者さんの症状やニーズ、社会背景に応じて、適切な治療法を相談・選択することにしております。
最近では、小児の炎症性腸疾患患者さんも増加しております。また妊娠を希望されている炎症性腸疾患者さんも多数おられます。そのため担当医のみではなく栄養指導・薬剤指導・薬剤服薬遵守などさまざまや職種がチームとなって対応することが望ましい疾患であると認識され始めています。当院でも小児科、小児外科、産婦人科、栄養士、薬剤師、検査技師、とも連絡をとりながら、共同で適切な治療法を提供できるように努めております。
胆膵グループでは膵がん、胆道がんなどの悪性疾患の早期診断、治療を外科、放射線科と協力のもとに積極的に行っています。特に予後の悪い膵臓がんにつきましてはIPMN、DM、慢性膵炎、家族歴などのリスクファクターのある方を定期フォローし早期発見につなげています。また胆嚢結石、総胆管結石、急性膵炎などの幅広い良性疾患に対しましても緊急内視鏡による治療も含めて24時間対応しています。最近は超音波内視鏡を用いた特殊な治療(超音波内視鏡下胆道ドレナージ:EUS-BD、超音波内視鏡下膵仮性嚢胞ドレナージ:EUS-CD)も積極的に行っています。DMの急な悪化、腫瘍マーカーの上昇、体重減少、食欲不振など気になることがございましたら早めにご紹介をお願いいたします。
肝機能障害、ウイルス性や自己免疫性肝炎、代謝異常関連脂肪性肝疾患、肝腫瘍、肝硬変肝不全の精査加療治療を経験豊富な専門医の元、チーム医療で行います。非昏睡型、昏睡型の急性肝不全にもICU含め対応可能です。肝癌は消化器外科・放射線科と定期的にカンファレンスを行いながら、手術・カテーテル・ラジオ波焼灼・動注・抗癌剤・放射線治療など適切な治療を検討、加療、フォローします。
検査・治療名 | 平成 30年 (2018) | 令和 元年 (2019) | 令和 2年 (2020) | 令和 3年 (2021) | 令和 4年 (2022) |
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上部消化管内視鏡検査 | 12,159 | 12,476 | 10,443 | 11,196 | 11,027 |
大腸内視鏡検査 | 3,162 | 3,235 | 2,843 | 2,999 | 2,755 |
胆膵内視鏡検査 (ERCP +胆膵EUS関連) | 712 | 735 | 682 | 663 | 688 |
超音波内視鏡検査 | 518 | 474 | 395 | 433 | 487 |
消化管X線透視検査 | 425 | 405 | 446 | 503 | 495 |
腹部超音波検査 | 7,930 | 8,566 | 7,649 | 7,610 | 7,069 |
食道癌内視鏡および胃癌内視鏡治療 (EMR) | 30 | 46 | 16 | 28 | 30 |
食道癌内視鏡および胃癌内視鏡治療 (ESD) | 197 | 232 | 186 | 187 | 170 |
大腸ポリープおよび大腸癌内視鏡治療 (EMR) | 1,275 | 1,298 | 1,088 | 1,050 | 1,059 |
大腸ポリープおよび大腸癌内視鏡治療 (ESD) | 58 | 53 | 37 | 37 | 26 |
その他の消化管内視鏡治療 (止血、異物除去、胃瘻造設など) | 436 | 562 | 329 | 339 | 305 |
胆膵内視鏡治療 (EST、ステントなど) | 363 | 372 | 454 | 370 | 332 |
肝臓癌に対する血管塞栓療法 | 122 | 140 | 150 | 93 | 89 |
肝臓癌に対する超音波下穿刺局所治療 | 86 | 60 | 43 | 35 | 31 |
肝生検・肝腫瘍生検 | 71 | 69 | 67 | 64 | 56 |
疾患名 | 退院患者数 | 平均在院日数 |
---|---|---|
肝癌 | 159 | 8.7 |
大腸腺腫 | 157 | 2.6 |
胃癌 | 143 | 11 |
大腸癌 | 142 | 7.8 |
胆石症 | 126 | 11.9 |
膵癌 | 107 | 10.9 |
大腸憩室 | 96 | 10.4 |
食道癌 | 81 | 10.9 |
急性閉塞性化膿性胆管炎 | 55 | 8 |
肝外胆管癌 | 38 | 12.7 |
急性膵炎 | 36 | 17.5 |
病診連携にて御連絡くだされば、消化器疾患全般に対応します。
エビデンスに基づきつつ、患者さんと御家族の意向を確認し、自身の経験を融合して診療をすすめていきます。
消化管および胆膵の内視鏡診療を中心に担当します。特に上部消化管(咽頭、食道、胃、十二指腸)の画像強調内視鏡による診断、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)による治療を専門としております。ESDは食道・胃に限らず、最近は咽頭にも行っております。治療の詳細は、治療の詳細は、下記関連ページを是非、ご覧下さい。診療では明るく元気に、頑張ります。
専門は肝臓疾患ですが、一般内科診療と消化器診療で地域医療にも従事していたことがあり消化器全般に幅広く診療しています。肝臓疾患は、C型肝炎は大部分が治癒できる劇的な進歩が近年ありました。ただB型肝炎、肝癌、難治のNASH、高度な医療機関でしか対応できない急性肝不全など、まだまだ取り組むべき課題は多いです。スタッフ、他科の先生やパラメディカルにも協力を仰ぎながら、高度で適切な医療を提供したいと考えています。
癌をはじめとする器質的疾患診療のみならず、機能性ディスペプシアや過敏性症候群などの機能性疾患診療にも力を注いでいます。機能性疾患は器質的疾患と比較して世の中に浸透していない点もあり、周りから理解が得られないケースもありますが、心身共にQOL低下をきたすことが明らかになっている疾患であり、患者さんと一緒に寄り添った治療を心がけています。
大腸癌の早期発見と治療に力を入れています。内視鏡検査・治療技術の向上に努め、患者さんに適した治療方針を提案することを信条としています。
消化器病全般に対応しておりますが、消化管の分野、特に炎症性腸疾患の診療に力を入れております。炎症性腸疾患自体の治療にとどまらず、炎症性腸疾患患者の生活の質を向上させるための診療を目指しております。
消化器疾患全般の診療を行っています。主に上下部消化管・胆膵疾患の内視鏡診断・治療を専門に行っています。
学生時代から内視鏡治療に興味を持ち、京都第一赤十字病院にて初期研修を含め6年間勤務した後、京都府立医科大学大学院にて学び、令和元年4月より戻ってまいりました。特に上部消化管ESDに力を入れ、様々な症例を経験してまいりましたので、その分野を得意としつつ、消化器疾患全般の診療を行っております。 これからも患者様の体への負担が少ない内視鏡治療にて根治を目指していきます。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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一診 | 奥山 | 吉田 | 佐藤 | 奥山 | 氏原 |
二診 | 安達 | 戸祭 | 大塚 | 稲田 | 稲田 |
三診 | 藤井 | 西村 | 藤井 | 西村 | 提中 |
四診 | 澤井 | 福居 | 福居 | 戸祭 | 田中 |
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消化器内科ではあらゆる消化器疾患(食道、胃、肝臓、胆嚢、膵臓、小腸、大腸)に対して4つの治療部門の専門医師が協力し、最新のより良い治療をめざして診療にあたっております。私の専門とする胆膵領域では最も予後の悪い膵臓がんの早期診断、治療に力を入れています。また急性胆管炎など緊急内視鏡処置が必要な疾患についても24時間体制で積極的に対応しております。