当科では心臓・大血管・末梢血管・ペースメーカーまで様々な領域の外科的治療対象となる疾患に対する治療を行っています。また大動脈瘤や Stanford B型大動脈解離などいずれ手術が必要になるかも知れない患者さんに対して検査や内服などにより管理やフォローを行っています。
心臓手術に関しては虚血性心疾患・弁膜症・心臓腫瘍などの疾患を対象としております。
当科で手術を受けられる患者さんは院内循環器内科や地域開業の先生方からの紹介だけではなく、心臓手術や胸部大動脈の半数以上は京都府内の各総合病院からの紹介となっています。定期手術だけでなく、急性疾患の救急治療では24時間対応で迅速かつ適切に診断・治療にあたり多くの診療機関さまのご期待にそえるよう努力しています。
当科では「心臓血管外科ホットライン」により、24時間365日いつでも心臓血管救急疾患が疑われる患者さんの受入れを行っています。急性大動脈解離・大動脈瘤破裂や ACS・急性心筋梗塞合併症などの急性期患者さんがおられたら、いつでも当科ホットラインにご連絡ください。当院心臓血管外科医に直接つながります(医師の専用回線となります)。番号は地域医療連携課(直通tel:075-533-1280)にご確認ください。
虚血性心疾患に関しては人工心肺を使用しない off-pump 冠動脈バイパス術を第一選択としていますが、患者さんの重症化などに伴い人工心肺を用いての冠動脈バイパス術も行っております。またカテーテル治療と左小開胸による冠動脈バイパスを併用した hybrid 治療なども行っています。
弁膜症に関しては単弁手術などでは胸骨を温存する右小開胸胸腔鏡補助による低侵襲心臓手術(minimal invasive cardiac surgery : MICS) を積極的に取り入れております。その一方で自己弁温存大動脈基部置換などの複雑手術なども行なっております。
僧帽弁閉鎖不全症に対しては弁形成術を第一選択としており、また心房細動に対しても積極的にメイズ手術や肺静脈隔離術を行い、原則全例で左房内血栓予防のため左心耳閉鎖を行っております。
大動脈疾患に関しては当院では企業デバイスが発売される以前の自家製の頃から積極的にステントグラフト内挿術を行っており、通常の開胸・開腹手術と併せながら治療を選択しています。破裂症例に関しては原則としてステントグラフト内挿術を行っております。下肢静脈瘤に関してもレーザー焼灼術を中心に治療を行っております。下肢閉塞性動脈硬化症や急性動脈閉塞に関しては当院循環器内科と相談しながらカテーテル治療か外科的治療かを検討させて頂いています。
普段開業医さまでフォローされているペースメーカー埋め込み後の患者さんの電池消耗や他のトラブルにも対応させていただいております。
手術名 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | 令和6年 |
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後天性心疾患(虚血性心疾患・弁膜症など) | 78 | 95 | 69 | 81 | 65 |
先天性心疾患 | 3 | 1 | 4 | 2 | 3 |
胸部大動脈瘤 | 41 | 31 | 39 | 37 | 30 |
腹部大動脈瘤 | 46 | 75 | 32 | 44 | 59 |
末梢動脈手術 | 42 | 22 | 25 | 38 | 30 |
静脈手術 | 32 | 28 | 11 | 26 | 31 |
ペースメーカー手術 | 19 | 23 | 18 | 33 | 25 |
総手術数 | 290 | 289 | 199 | 274 | 247 |
平成8年に自治医科大学を卒業し、京都府立医科大学第2外科に入局。2年間の研修後は綾部市立病院、京丹後市立久美浜病院に一般外科医として赴任。その後、平成17年に京都府立医科大学心臓血管外科に入局し、9年間の大学勤務の後、平成26年に当院へ赴任しました。近年の心臓血管手術は高齢化が進んでおり、また糖尿病や腎不全などの合併症を有する方も多く、より安全で低侵襲な手術が求められています。これまでもオフポンプ手術や胸部・腹部大血管疾患に対するステントグラフト、下肢静脈瘤に対するレーザー治療など手術の低侵襲化に取り組んできましたが、より一層安全に手術を受けていただけるようにスタッフ一同頑張ります。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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一診 | ペースメーカー外来 (2・4週) | 岡 (2・4週) | 髙橋 | 大川 (1・3・5週) 池本 (2・4週) |
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昭和63年に京都府立医科大学を卒業し、大学病院で研究及び臨床のトレーニングを積んだ後に、3年間のアメリカ留学、約4年間の熊本赤十字病院での臨床を経て平成18年1月より副部長として赴任し、平成20年4月より部長を拝命いたしました。心臓血管外科領域全般を担当しますが、特に心臓・大血管外科疾患の手術を主に行っており、今まで約2500例の心臓・大血管手術を執刀・指導してきました。救急時には迅速に対応できるフットワークと、重症疾患でも安定した手術成績を修め、患者さんのニーズに柔軟に対応できるようチームみんなで精一杯努力して行きたいと考えております。